中学保健体育(体育実技)
単元20: 武道 (柔道・剣道・相撲)
武道は、日本独自の伝統的な運動文化であり、技を競い合うだけでなく、「礼に始まり礼に終わる」と言われるように、相手を尊重し、礼儀作法や精神面を重んじる特徴があります。ここでは、中学の体育で主に行われる「柔道」「剣道」「相撲」の基本動作やルール、礼法について整理します。
1. 柔道(じゅうどう)
体への衝撃を和らげる後ろ受け身
柔道は、相手の力を利用して投げたり、抑え込んだりする武道です。
- 創設者:1882年(明治15年)に、日本の伝統的な柔術を整理・発展させて「講道館柔道」を創設した人物は、嘉納治五郎(かのうじごろう)です。
- 柔道の基本技術:
- 崩し(くずし):相手を前後左右に引いたり押したりして、相手の姿勢を不安定にし、自分が技をかけやすくすること。
- 体さばき(たいさばき):技をかけたり、防いだりするために、自分の体の向きを変える基本動作。
- 後ろ受け身:後ろに倒れたときに、後頭部(頭)を畳に強く打ち付けて怪我をするのを防ぐため、あごをしっかり引いて(おへそを見るようにして)、両手で畳をたたいて衝撃を和らげる受け身の動作。
- 組み手と持ち手:相手の道着を掴む手の役割。
- 釣り手(つりて):相手の「襟(えり)」の下側を握る方の手。
- 引き手(ひきて):相手の「袖(そで)」の外側を握る方の手。
- 礼法と試合ルール:
- 座礼(ざれい):正座をした姿勢で行う礼。
- 左座右起(さざうき):座礼の作法で、「座るときは左足から膝をつき、立つときは右足から立てる」という伝統的な基本動作。
- 一本(いっぽん):投げ技で相手の背中を畳に強く叩きつけたとき、または抑え込みが一定時間(20秒)続いたときに、主審が腕をまっすぐ真上に上げた合図(勝利が決まります)。
2. 剣道(けんどう)
面・小手・胴の有効打突と残心
剣道は、防具を着用し、竹刀(しない)を用いて決められた部位を打突し合う武道です。
- 打突(だとつ):竹刀で相手の有効部位(面、小手、胴、突き)を正しく打ったり突いたりすること。
- 中段の構え(ちゅうだんのかまえ):最も基本的な構え方。竹刀の剣先(先端)は、相手ののど(喉)の高さに向けます。
- 間合い(まあい):向かい合ったときの、自分と相手との物理的な距離。
- 一足一刀の間合い(いっそくいっとうのまあい):剣先がおよそ10cm交差した距離。「一歩踏み出せば相手を打つことができ、一歩下がれば相手の攻撃をかわせる」基本的な間合い。
- 残心(ざんしん):打突を決めた後も油断せず、相手の反撃にいつでも対応できるように備える、美しい身構え・心構えのこと。これがないと、打突が有効(一本)と認められない場合があります。
3. 相撲(すもう)
腰を下ろして礼を表す蹲踞(そんきょ)姿勢
相撲は、土俵の上で2人の力士が組み合い、相手を土俵の外に出すか、足の裏以外の体を土俵につけることで勝敗を決める伝統的な武道です。
- 蹲踞(そんきょ):つま先立ちになり、かかとの上にお尻を下ろして膝を左右に開き、背筋を伸ばして上体をまっすぐにする、相撲の基本姿勢。
- 塵手水(ちりちょうず):取り組みの前に、土俵に上がって「そんきょ」の姿勢で行う礼法。手を打ってから両手を横に広げて手のひらを上に向けます。「手に武器を持っておらず、正々堂々と素手で戦う」ことを相手に示す意味があります。
🔥 定期テスト対策・暗記のコツ
① 柔道の「左座右起」と「あごを引く理由」
座る時は左から、立つ時は右からを「左座右起(さざうき)」といいます。また、後ろ受け身で「あごを引く理由」は、テストの記述で「後頭部を畳に打ち付けて怪我をするのを防ぐため」と書けるようにしましょう。
② 剣道の「一足一刀の間合い」と「残心」
「一歩踏み出せば打てて、一歩下がればかわせる距離 ➔ 一足一刀の間合い」、「打った後の備え ➔ 残心」。この2つの用語は、剣道理論の最重要キーワードです。
③ 相撲の「蹲踞」と「塵手水」
「つま先立ちで腰を下ろす ➔ そんきょ(蹲踞)」、「手を打って広げる礼法 ➔ ちりちょうず(塵手水)」。どちらも漢字とカタカナの両方で答えられるように暗記しておきましょう。