11. 生産と労働
私たちが普段消費している商品やサービスは、様々な「企業」が生産活動を行うことで生み出されています。また、その生産活動を支えているのは、働く人々(労働者)です。今回は、現代社会で最も一般的な企業の仕組みである「株式会社」と、弱い立場にある労働者を守るためのルール「労働三法」、そして現代の雇用問題について詳しく整理します!
1. 現代経済の主役「企業」と株式会社の仕組み
企業は、利益(利潤)を追求する「私企業」と、国や地方自治体が運営する「公企業」に分かれます。現代社会の私企業の代表格が株式会社(かぶしきがいしゃ)です。
① 株式会社の基本システム
株式会社は、株式(かぶしき)を発行して、広く多くの人々から活動資金を集めて設立される会社です。資金を出してくれた人を株主(かぶぬし)と呼びます。
- 配当(はいとう):会社が利益を出したとき、株主がその持ち株数に応じて受け取ることができる分け前のこと。
- 有限責任(ゆうげんせきにん):万が一会社が倒産しても、株主は自分が出資したお金(購入した株の価値)がゼロになるだけで、それ以上の会社の借金を身代わりに払う必要はないというルール。これにより、人々は安心して出資できます。
- 所有と経営の分離(ぶんり):会社の持ち主である「株主」と、実際の会社の舵取りを行う専門家である「経営者(取締役など)」を別々にする仕組みのこと。
② 企業の社会的責任(CSR)
企業は利益を上げるだけでなく、環境保護活動を行ったり、地域のボランティアを支援したり、法律をしっかり守る(コンプライアンス・法令遵守)など、社会の一員としての責任を果たすことが求められます。これを企業の社会的責任(CSR)と呼びます。
2. 労働者の権利を守る「労働三法(ろうどうさんぽう)」
会社に雇われて働く人々を労働者と呼びます。労働者は、雇用主である企業に対して立場が弱くなりやすいため、国は憲法第28条の労働基本権(団結権・団体交渉権・団体行動権)に基づき、以下の労働三法を定めて労働者を強力に保護しています。
① 労働基準法(ろうどうきじゅんほう)─超頻出!
賃金、労働時間、休日など、労働条件の「最低基準」を定めた法律です。「1日8時間・週40時間まで」の労働時間制限や、違反した雇用主への罰則などが規定されています。
② 労働組合法(ろうどうくみあほう)
労働者が会社と対等に交渉するために、自主的な団体である「労働組合(ユニオン)」を結成し、運営することを保障する法律です。
③ 労働関係調整法(ろうどうかんけいちょうせいほう)
労働者と会社側の争いが激しくなり、ストライキなどが発生して解決が難しくなった場合に、労働委員会などの第三者が入って仲介・調整する方法を定めた法律です。
図1:1日8時間労働の制限など、労働基準法により労働者の健康と安全が守られています
3. 現代の雇用問題とこれからの働き方
経済のグローバル化や不況などを背景に、日本の働き方は大きな転換期を迎えています。
① 非正規雇用(ひせいきこよう)の増加
正社員(正規雇用)に対し、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員などの非正規雇用で働く人々が増加し、全労働者の約4割近くに達しています。
- 企業のメリット:人件費を抑えやすく、景気に合わせて雇う人数を調整しやすい。
- 労働者のデメリット:正社員に比べて給料が低く格差があることや、突然クビを切られる(雇い止め)など雇用が不安定である点が大きな課題です。
② 働き方の見直し
近年は、過度な残業を抑え、仕事と家庭生活(子育てや介護など)を両立させるワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現や、同じ仕事をしている人には立場を問わず同じ給与を払う「同一労働同一賃金」の導入などを目指す「働き方改革」が進められています。
🔥 この単元のテスト対策・暗記のコツ
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「所有と経営の分離」の理解:
・記述:「所有と経営の分離とはどのようなことか、説明しなさい。」
・解答:「会社の出資者である『株主』と、実際の業務を動かす専門家である『経営者』が区別され、それぞれ異なる役割を担うこと。」 -
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労働三法と労働三権のひっかけ(絶対注意):
・労働三法 = 労働基準法、労働組合法、労働関係調整法(法律の名前)。
・労働三権 = 団結権、団体交渉権、団体行動権(争議権)(権利の名前)。
※問題文で「法律」を聞かれているのか、「権利」を聞かれているのかで回答を正しく使い分けましょう。 -
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労働基準法の目的(記述・穴埋め):
・「労働条件の最低基準を定めた法律」というフレーズは本当によく出題されます。