中学美術(表現)
単元5: 版画や彫刻 (版画、彫刻、工芸)
凸版・凹版・平版・孔版という「版画の4つの版種」の仕組みや道具、立体表現の基本である「彫刻と塑像」、および「工芸素材の特性(木材・金属・粘土)」の要点を整理します。記述式問題や分類問題で確実に出題されるポイントを押さえましょう!
1. 版画の4つの版種(印刷の仕組み)
版画はインクを乗せる位置や転写の仕組みによって、大きく4種類に分かれます。それぞれの特徴と代表的な用具を覚えるのがテスト対策の第一歩です。
凸版(とっぱん)
彫らずに残した出っ張った部分にインクを乗せる。木版画が代表。刷るには「ばれん」を使う。
凹版(おうはん)
彫ってできた凹んだ溝にインクを詰め、強い圧力で刷る。ドライポイントやエッチングが代表。刷るには「プレス機」を使用。
平版(へいはん)
凹凸を作らず、水と油の反発作用を利用して刷る。リトグラフが代表。
孔版(こうはん)
版に開けた小さな目の穴からインクを押し出して刷る。シルクスクリーンが代表。用具には「スキージー(幅広のゴムへら)」を使う。
💡 凹版画の2大技法
- ドライポイント:銅版や塩ビ版などを、鋭いニードル(針)で直接ひっかいて彫る技法。
- エッチング:金属板を防食剤で覆い、針で描画した後に薬品に浸して腐食(化学変化)させて溝を彫る技法。
② 木版画の彫刻刀と彫り方

- 三角刀(さんかくとう):断面がV字。細くて鋭い線を彫るのに最も適しています。
- 丸刀(まるとう):断面がU字。太い線や丸みのある跡を残します。
- 平刀(ひらとう):平らな刃。広い面を平らに彫ったり、境界線をぼかしたりします。
- 切り出し刀:斜めの刃。輪郭線のカットなどに用います。

- 陽刻(ようこく):輪郭線を残してその周りを彫り下げる彫り方。刷ると線が黒く浮き出ます。
- 陰刻(いんこく):輪郭線そのものを直接彫り下げる彫り方。刷ると線が白く抜けます。

2. 彫刻と塑像(立体作品の基本)
立体作品(彫刻)の制作アプローチには、大きく分けて削るものと付け足すものの2つがあります。
- 彫刻(ちょうこく):木や石などの硬い素材を、外側から彫り刻み、削ってかたちをつくる技法(引き算・減算法)。

- 塑像(そぞう):粘土などの可塑性のある素材を、芯(心棒)の周りに内側から付け加えてかたちをつくる技法(足し算・加算法)。

① 立体作品の鑑賞3要素
- 量感(りょうかん/マッス):作品から感じられる、塊(かたまり)としての重みやボリューム感。
- 均衡(きんこう/バランス):作品の重心や視覚的なつり合いの取れた美しさ。
- 動勢(どうせい/ムーブマン):ポーズや構成から伝わってくる、動きや勢い、方向性のこと。

② 立体作品の形態
- 丸彫り(まるぼり):壁などに固定されず、360度あらゆる方向から鑑賞できるように完全に立体化された彫刻。
- レリーフ(浮き彫り):平面上に形を彫り出した、一方向(主に正面)からの鑑賞を目的とする彫刻。

3. 工芸素材の特性と陶芸
① 金属の特性

- 展性(てんせい):金属をハンマーなどで叩いたとき、破壊されずに薄く均一な板状に広がる性質。
- 延性(えんせい):金属を引っ張ったとき、破壊されずに針金のように細く伸びる性質。
② 木材の木目(木工芸)

- 柾目(まさめ):丸太の中心を通るように切り出した、平行で直線的な木目。乾燥による収縮や変形が非常に少ないのが特長です。
- 板目(いため):中心から外れた部分を切り出した、山形や波状の複雑な木目。加工はしやすいですが、反りや歪みが生じやすい性質があります。
③ 陶芸(焼き物)の要点
- 手びねり:粘土をひも状にして積み上げながら器を作る原始的な技法。
- ろくろづくり:回転する円盤の上に粘土を置き、遠心力を利用して形を整える技法。

- 施釉(せゆう):作品を本焼きする前に、表面にガラス質の薄い膜を作る薬品(釉薬・うわぐすり)を塗る作業。熱による強度補強や防水効果をもたらします。
🔥 定期テスト対策・暗記のコツ
① 版画の「凹版=プレス機」「孔版=スキージー」
版種と用具の組み合わせはテストの超大本命です。
特に「凹んだ溝にインクを入れる凹版には強い圧力がいるためプレス機を使う」「網の穴からインクを押し出す孔版にはスキージーというヘラを使う」という物理的な仕組みをリンクさせて暗記しましょう。
② 金属の「展性」と「延性」の区別
「展性 ➔ 広がる(展開する)」「延性 ➔ 伸びる(延長する)」と漢字の意味そのもので区別します。叩いて広がるのが展性、引っ張って伸びるのが延性です。
③ 柾目と板目の変形度合い
「工芸品をつくるのに、反りや狂いが少なく長持ちするのは?」と聞かれたら、平行な木目の「柾目(まさめ)」と答えましょう。高級な家具や楽器にも柾目が愛用されます。