4. 中国・四国地方
中国・四国地方は、中央にそびえる中国山地と四国山地によって、気候や人々の暮らしが「山陰」「瀬戸内」「南四国」の3つの地域に明確に分かれているのが大きな特徴です。雨の少なさを乗り越える水利用の知恵、本州と四国を結ぶ巨大な橋がもたらした変化、温暖な平野や砂丘での農業、そして山間部が抱える過疎化の課題までを詳しく整理します!
1. 中国山地・四国山地が作る「3つの気候区分」
2つの山地が障壁となるため、日本海側・瀬戸内海沿岸・太平洋側で、雨や雪の降り方に大きな差が生まれます。
図1:雨が少ない瀬戸内地方(讃岐平野など)で農業用水を確保するための「ため池」
- 山陰(さんいん・日本海側):冬に北西から吹く季節風の影響で、雪や雨が多く降る豪雪地帯を含みます。
- 瀬戸内(せとうち・瀬戸内海沿岸):北の中国山地と南の四国山地に挟まれているため、夏冬の湿った季節風が遮られ、年間を通して温暖で雨が極めて少ないのが特徴です。
- 水不足への知恵:雨が極端に少ない香川県の讃岐(さぬき)平野などでは、水を確保するために数多くの「ため池」が古くから作られてきました。また、水不足を根本的に解消するため、徳島県の吉野川から讃岐平野へ水を引く「香川用水」が建設されました。
- 南四国(みなみしこく・太平洋側):南東の季節風の影響をダイレクトに受けるため、夏に降水量が非常に多く、台風の直撃を受けやすい地域です。
- 鳥取砂丘:中国地方の北東部(鳥取県)にあり、風で運ばれた砂が堆積してできた日本最大級の砂丘です。
2. 交通の変革と「ストロー現象」
本州と四国の移動は、瀬戸内海をまたぐ巨大な橋によって画期的に便利になりました。
図2:瀬戸内海の島々を美しい橋で繋ぎ、自転車でも渡れる「瀬戸内しまなみ海道」
- 本州四国連絡橋(3ルート):本州と四国を接続する巨大な道路・鉄道網。
- 瀬戸大橋(中央ルート):1988年に開通。岡山県児島と香川県坂出を結び、道路の下を鉄道(瀬戸大橋線)が走る併用橋です。
- 明石海峡大橋(東ルート):兵庫県神戸市と淡路島を結ぶ、世界最大級の吊り橋です。
- 瀬戸内しまなみ海道(西ルート):広島県尾道市と愛媛県今治市を結び、徒歩や自転車でも渡れるのが特徴で、サイクリングの聖地となっています。
- ストロー現象(重要!):橋が開通して交通が便利になった結果、四国の人や買い物が、ストローで吸い上げるように隣接する巨大大都市(大阪や岡山など)へと流出してしまい、四国地方の地元の商業や経済が却って衰退してしまう現象です。
3. 中国・四国地方の特色ある農林水産業
温暖な気候や砂地、傾斜地などの自然環境をたくみに活かした農業が発達しています。
- 高知平野の促成栽培:南四国の温暖な気候を利用して、なすやピーマンの成長を早めて冬〜春に出荷する方法です。
- 鳥取砂丘の農業:水はけが良すぎて乾きやすい砂地をスプリンクラーで克服し、砂地に適したらっきょうや梨の栽培が盛んです。
- 瀬戸内の果物栽培:晴れが多くて温暖な気候を活かし、愛媛県では斜面でみかん(柑橘類)、岡山県ではぶどうや桃、香川県の小豆島では日本初のオリーブの栽培が盛んです。
- 水産業:島根県の汽水湖(海水と淡水が混ざる湖)である宍道湖(しんじこ)では、「しじみ」の漁獲量が全国有数です。
4. 瀬戸内工業地域と瀬戸内海沿岸
かつては海岸に塩を採取するための「塩田(えんでん)」が多く見られた瀬戸内沿岸ですが、戦後は巨大な工業地域へと発展しました。
- 瀬戸内工業地域:原材料の輸入と製品の輸出に便利な瀬戸内海の海上交通を活かした、臨海型の工業地域です。
- 石油化学コンビナート:製油所や化学工場がパイプラインで結ばれ、効率的に石油化学製品を連続生産する巨大施設群です。岡山県倉敷市の水島(みずしま)地区や山口県の周南市が有名です。
- 自動車工業:広島県府中町(マツダの本社)などを中心に、機械・自動車製造などの輸送用機器工業が非常に盛んです。
5. 社会問題(過疎化・限界集落)と歴史観光
- 過疎化と限界集落:中国山地や四国山地の山間部では若者の流出が進み、人口減少が激しい過疎化が深刻です。65歳以上の高齢者が人口の半数を超え、道路の補修や防災、冠婚葬祭などの共同体の維持が難しくなった「限界集落(げんかいしゅうらく)」が増加しており、活性化のための「町おこし・村おこし」が各地で行われています。
- 平和の都市と世界遺産:広島市は1945年8月6日に世界初の原子爆弾が投下された歴史から、法律で「平和記念都市」に指定され、平和学習の拠点となっています。広島の宮島にある海上の大鳥居で有名な厳島神社は世界遺産です。
- 出雲大社:島根県にあり、日本最古の神社の一つ。縁結びの神様として知られ、旧暦10月(神無月)に日本中の神様が集まる「神在月」で有名です。
🔥 定期テスト対策・暗記のコツ
① ストロー現象のメカニズム(記述ターゲット!)
「本州四国連絡橋の開通によるストロー現象とは何か?」➔「大都市への交通が便利になった結果、地方都市の購買客や企業が大都市(大阪や岡山など)に吸い寄せられ、地方の商業が衰退すること」と記述できるようにしましょう!
② 瀬戸内のため池の理由
「讃岐平野にため池が多い理由は?」➔「瀬戸内地方は周囲の山地に湿った空気を遮られ、年間を通して降水量が少なく、大きな河川がないため農業用水を確保する必要があったから」です。雨の少なさと山の関係がポイントです。
③ 各地の主要な特産物
「高知 ➔ なす・ピーマン(促成栽培)」「愛媛 ➔ みかん」「岡山 ➔ ぶどう・もも」「香川・小豆島 ➔ オリーブ」「鳥取砂丘 ➔ らっきょう・梨」「宍道湖 ➔ しじみ」の組合せは、地図問題や選択問題で非常によく出ます!